こんにちは。
先般行った、プレウォール工法の三次元実大振動実験では、震度7クラス
の巨大地震が連続で発生しても、倒壊はもちろん、その後も住み続ける
ことができる「健全な構造体という状態で耐える」という結果となりました。
振動実験の一部始終をまとめたビデオが完成しましたのでご覧ください。
「プレウォール工法は連続地震に強い」ということが実証され、ハッピーエンド!
となりそうなところですが、実験のデータ解析を行う中で新たな課題がいくつか
見えてきました。
そこで今回は、解析結果の中間報告を簡単ではありますが、お伝えしたいと思います。
(詳細は建築学会での論文発表を予定しています)
■大地震が連続で発生した際に想定される構造上の課題
課題1
部分的ではあるがパネルを留め付ける釘の浮き上がり、合板の割れ、フレームの割れ
が発生した。そのようなダメージを、どのような方法で本来の耐震性能100%まで回復
させるか。
課題2
偏心率(建物のねじれ)が、設計壁倍率と実壁倍率との違いや、耐力壁の施工精度の
関係から、設計値よりも悪くなる結果となった。建物のねじれによる「ダメージの一点集中」
を防ぐため、設計段階での偏心率の基準をどのレベルとすべきか。
課題3
柱の引き抜きが想定以上となり、ホールダウン金物のボルトの緩みやプレート金物
の損傷が発生した。ボルトの緩み防止と、接合金物の設計をどのように行うべきか。
また、いくら地震に強いプレウォール工法を採用しても、諸条件によっては、建物の
損傷度合は変わってきます。例えば、熊本県益城町のような地盤の強度が極端に弱
いケースや、プラン段階で壁の配置バランスが悪いケースでは、地震の揺れは増幅
され建物に与えるダメージは想定以上になってしまいます。
そのように建物にとって悪条件であっても、倒壊というあってはならない事態にならない
にように、プレウォール工法をより強く、そしてより安全に進化させるべく、研究開発を
続けていくことが、我々の使命であると考えています。
プレウォール工法の挑戦に終わりはありません。