『木材の新たな付加価値』

先日、出張の際に「東京をWOOD TOWNに」というテーマの企画展に立ち寄ってきました。

TOKYO WOOD TOWN 2040 山と木と東京
https://marunouchi.g-mark.org/twt2040.html

近年、木造建築の技術革新によって、東京駅周辺でも木造中高層ビルの建設が増えてきています。また、大阪万博でも会場のシンボルとなる世界最大級の木造建築物の大屋根(リング)が建設中です。


出典:公益社団法人2025年日本国際博覧会協会

このようなトレンドは私たちが住宅用プレカット機械でできる中規模非住宅に対して木造化を推進しているのと同様に、一つ次元の高い中高層・大規模建築の世界でも着々と木造化が進められています。

これは近い将来、日々の生活の中でより木材を身近に感じられると共に、木材を使う意義がこれまで以上に認識されていくのだろうと思います。これは我々業界にとっては大変有り難く、光栄なことです。

この背景には木材は炭素固定の機能が備わっており、極めてエコで環境に優しい素材であるということがあります。とりわけ大手上場企業においてはESG投資の観点から所有する不動産からの炭素排出量を極力少なくすることが企業経営において避けては通れないテーマになっています。

建物の炭素排出量の評価を行う際に用いる計算(LCA:ライフサイクルアセスメント)としては木造か鉄骨か、あるいはコンクリートかというざっくりとした評価方法から、最近は木材一本一本のCO2排出量を計算して評価する方法の開発が進んでいます。そのような詳細計算をすればこれまでのざっくりした計算よりも更に木造の評価が高まるそうです。

そのような詳細計算をするためには木材1㎥あたりのCO2排出量が評価されていなければいけません。木材の生産過程で排出するCO2は製材と乾燥にかかるエネルギーが大半を占めるため、そのエネルギーを如何にバイオマス等の再生可能エネルギーを使用するかが高評価を得るポイントになります。

近い将来、木材製品それぞれに強度等級(E値やF値)が定められているように炭素排出量も表示される日がやってくると思います。そして、その数値が低い木材ほど付加価値が高く、差別化できるという時代がくるのでしょうね。 

これからの事業というのはただ単にお客様が求められるものを提供すれば良いということではなく、如何に社会課題に貢献していくかというフェーズに入りました。

これは近江商人のお客様よし、会社よし、社会よしの3方よしの考え方であり、商売の原点なのですね。

しっかりと時代が求めるニーズ、潮流を捉え、お客様からも社会からも選ばれる会社にしていきたいと思います。