『70年の歩みに感謝』

1945年3月3日の会社設立から、今年で70年の節目を迎えました。

祖父が創業し、その後、現会長、現副会長が事業を引き継ぎ、2016年に私がバトンを受け取ることとなりました。2001年に入社してから24年が経ちますが、これは会社の歴史の3分の1程度に過ぎません。

これまで70年間、会社を支えてきた創業者の祖父、会長、副会長、そして社員の皆さんには、心から感謝の気持ちを伝えたいと思います。そして、これから80年、90年、100年と、会社を未来へとつなげていく責任の重さを改めて実感しています。

これまでの木材・建築業界は、高度経済成長期とともに市場が拡大し、どの領域で戦うかを選びながら、それぞれの強みを磨くことで成長が期待できる時代でした。事業の選択肢も多く、将来への可能性が開かれていました。しかし、今後はその流れが一変し、市場全体が急速に縮小する厳しい時代へ突入します。

とはいえ、市場が縮小する中でも、時代の変化に伴い、新たなお客様のニーズや需要は生まれます。成長の可能性を秘めたマーケットも、変化の波の中で芽生えていきます。その変化を素早く察知し、他社に先駆けて手を打ち、先駆者として道を切り開くことが今後の企業存続と成長の鍵になると考えています。限られた成長機会を逃さず、確実に事業へと結びつけていきたいと考えています。

幸いなことに、当社には優秀な社員が集まっています。この素晴らしい仲間たちとともに、新たな挑戦を重ねながら次の時代へと続く歴史を築いていきます。

これからも、目の前の課題に一つひとつ真摯に向き合い、着実に成長を積み重ねていきます。変化を恐れず、誠実な経営を貫きながら、未来への道を切り拓いていく所存です。

『積雪時における地震リスク ~構造計算の重要性~』

昨日の朝、地震の揺れでふと眠りから覚めた瞬間、頭に浮かんだのは屋根に積もった雪の光景でした。この揺れの後、本震で震度6や7の揺れが襲来したら――という恐怖が一瞬にして心を支配しました。地震速報では、震源地は能登で震度3、私の住む高岡市では震度2と伝えられていました。

もし積雪時に地震の規模が震度6や7に達した場合、通常の揺れに比べ建物にかかる負荷は格段に増大します。具体的には積雪が1メートルになると、屋根にかかる荷重は約10トンに達し、地震の揺れは1.5倍以上に増幅します。

残念ながら、国の耐震基準には積雪条件が組み込まれておらず、現存する多くの住宅はこの追加荷重を十分に考慮した設計になっていません。そのため、異常気象下での重い積雪と頻発する地震の組み合わせに、現行の設計基準では対応しきれていないのが実情です。

近年、地球温暖化の影響で、豪雪や豪雨といった極端な気象現象が増加し、従来の設計基準ではカバーしきれない災害級のリスクが浮き彫りになっています。こうした背景を踏まえ、今こそ積雪荷重を加味した構造計算の徹底が求められると考えています。

完全な安全を保証することはできなくとも、適切な備えと設計によってリスクは大幅に軽減可能です。今後の異常気象や地震リスクに備え、積雪荷重を考慮した耐震設計の普及と、これに基づく構造計算の実施を一層進めていく必要があると強く感じた次第です。

これからも家づくりを検討中の皆様へ、北陸特有の積雪時における地震リスクを正確かつ分かりやすくお伝えするとともに、地震に負けない安全な住まいの実現に向けたサポート体制を一層充実させてまいります。そして、北陸地域の住環境の進歩発展に貢献していきたいと考えております。

『お客様への貢献』

新年あけましておめでとうございます。

今年の仕事初めは雪の影響を受けることなく、順調にスタートを切ることができました。また、1月・2月の上棟物件数は例年を大幅に上回り、工場はすでにフル稼働状態です。幸先の良いスタートに、社員一同、気を引き締めながら全力で取り組んでおります。

さて、2025年は私たちにとって節目となる特別な年になります。21世紀に入って四半世紀、昭和から数えて100年、戦後80年、阪神淡路大震災から30年、そして当社設立70周年を迎える記念すべき年となります。

業界を取り巻く環境もまた、さまざまな変化を迎えています。4月からは4号特例の縮小や省エネ基準適合の義務化が始まります。また、物価高や住宅ローン金利の上昇で住宅取得のハードルが一層高くなることが予想されます。また、世界情勢としては、トランプ政権の関税引上げ政策の影響によってはウッドショック再燃のリスクも懸念されています。

昨年末のブログでは「会社の仲間との対話を重ねること」を2025年のテーマにしたいとお伝えしました。

変化の波に流されることなく、仲間との日々の対話を大切にし、共に成長しながら、最高の製品、サービスを提供できるよう努めてまいります。お客様への貢献価値をこれまで以上に高めることを目指して邁進していく所存です。

本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

『仲間との対話』

本日をもって、今年の仕事納めとなります。
振り返ってみると、今年は反省すべきことが多い一年でした。

自分自身を見つめ直し、深く原因を探ってみたところ、私の仕事がどこか地に足がついていなかったのではないかという結論に至りました。そして、その大きな要因として「会社の仲間との対話の不足」が浮き彫りになりました。

自分の想いを優先してしまい、現場の声に耳を傾けること、そして心を寄せることが十分にできていなかった、そのことを痛感しています。

「対話を重ねて感動を共有する」

これは私たちの企業理念の第3章に掲げられたフレーズです。

どんなに素晴らしいビジョンや戦略があったとしても、チーム内での対話が不足していては、物事がスムーズに進むことはありません。そして、感動を共有するなど到底実現し得ないのです。

来年は「会社の仲間との対話を重ねること」を最重要課題と位置づけ、地に足のついた健全な経営を目指していきます。日々の対話を大切にし、感動を共有できる組織づくりを目指してまいります。

今年一年、お客様をはじめ、協力業者の皆様には多大なるご支援を賜り、心より感謝申し上げます。そして、共に働く会社の仲間たちにも感謝の想いを伝えたいと思います。

どうか皆様にとって、2025年が素晴らしい一年となりますようお祈り申し上げます。

『非住宅木造システム “WOODCORE”』

この度、非住宅木造専門サイト「木造化ラボ」を公開しました。住宅着工戸数の減少が予測される中、倉庫や工場、店舗や事務所といった非住宅建築での木造化・木質化を推進することが、今後の木材業界にとって重要な課題であると考えています。

この専門サイトでは当社が開発した非住宅木造システム「WOODCORE」を紹介しています。このシステムは、戸建て住宅用の一般流通材を活用することで、鉄骨造よりもコストを抑えつつ、非住宅木造に不慣れな方でも簡単に取り組めるよう設計されています。設計事務所やゼネコンの皆様だけでなく、これまで戸建て住宅を中心に取り組んでこられた地域工務店の方々にも、非住宅木造市場への参入をサポートしたいと考えています。

今回、専門サイト「木造化ラボ」の公開と、非住宅木造システム「WOODCORE」のリリースに伴い、北陸型木の住まい研究会の会員工務店様向けに講演会を開催しました。この講演会はコロナ禍後5年ぶりのリアル開催となり、各地域の工務店同士が情報交換を行う貴重な場ともなりました。木造建築の可能性について議論を深め、業界全体での連携強化が図れたことは非常に意義深いものとなりました。

木造を非住宅分野にまで拡げることは、単に事業領域を拡げるだけではありません。それは、まさに「都市に森をつくる」ことに他なりません。木材が持つ炭素の吸収・固定機能を活用し、地球環境の保全に寄与することで、持続可能な社会の実現を目指す取り組みです。

木造建築は、自然と人をつなぎ、心地よい空間を提供します。非住宅木造システム「WOODCORE」を通じて、非住宅木造の可能性を切り拓き、工務店の皆様と共に新たな価値を創造していきたいと思います。

▼非住宅木造専門サイト「木造化ラボ」
https://mokuzo-labo.com/

『心技体』

この度、「とやま健康企業宣言」において、銀賞から金賞にステップアップすることができました。ちなみに金賞は富山県内の企業1025社の中でわずか5.7%だそうです。

健康診断の再受診率100%、喫煙率の減少、有給取得率の向上といった成果が評価され、社員の健康と働きやすさを大切にする姿勢が認められたことは大きな励みになります。

私自身も日常に運動を取り入れており、その効果を実感しています。毎朝の運動をルーティンにしたところ、仕事に対する集中力や生産性が向上し、短時間で密度の濃い業務をこなすことができるようになりました。ただただ長時間仕事をこなすよりも運動と仕事をメリハリつけて行う方が間違いなくパフォーマンスは向上します。

科学的な視点でも、運動後には脳への血流が増え、記憶力や集中力、創造力が高まることが実証されています。運動によって前頭前皮質が活性化され、認知機能の向上が促されることから、個人のパフォーマンス向上に役立つことは間違いありません。こうした科学的なアプローチも取り入れながら会社全体の生産性向上に努めていきたいと考えています。

私も40代後半になった今、強く感じるのは「心技体」のバランスの大切さです。若いころは技・スキルを磨くことに集中していましたが、リーダーとしての経験を重ねるにつれ、心・マインドの安定が重要であることに気づくようになりました。そして現在は、「体」が健康であることが、心や技の充実にもつながることを実感しています。体が健康であれば、心が健やかになり、新たな知識やスキルの吸収もスムーズに進む。この心技体を高め合うサイクルが、最も効果的であると考えています。

また、この心技体のバランスを意識した考え方は、精神的、社会的、身体的に良好な状態を意味する「ウェルビーイング」にも直結しています。心身ともに充実した状態を維持することが、より豊かな人生を送るための基盤となります。

今回の受賞に満足することなく、次は全国版である経済産業省主幹の「ブライト500」を目指したいと考えています。さらに健康経営を深化させ、全社員が心技体ともに健やかで、働くことを誇りに思えるような環境づくりに取り組んで参ります。

『モチベーションの源泉』

先日行ったマネジメント研修での議論から、貴重な気づきを得ましたので、共有したいと思います。

研修の中で、ある社員が次のような問いを投げかけました。「ルーティン業務以外のプラスアルファの仕事に、メンバーが前向きに取り組むためにはどうすれば良いのか?その際にどのような目的を伝えるべきか?」この質問を通して、メンバーのモチベーションを高める方法について深く考える機会がありました。

多くのメンバーにとって、もっともわかりやすい動機付けは「給与が上がる」ことだという意見がありました。しかし、日本人特有の価値観も影響しているのか、こうしたお金に関わる話題を直接伝えることに「嫌らしい」と感じ、躊躇する場面も少なくありません。リーダーとして、自己成長や部署の目標達成、さらには社会貢献といった聞こえの良い目的を伝えることが多いと感じます。もちろん、これらは非常に重要で、本質的な目的です。

しかし、現実的には「給与が増える」「残業が少なく、プライベートが充実する」「長期休暇を使って家族や友人と旅行に行ける」といった具体的なメリットの方が、よりイメージしやすく、メンバーにとってワクワクする要素であることも確かです。高い給与や働きやすい環境の中で、やりたい仕事を気の合う仲間と共にできるということは、非常に魅力的ではないでしょうか。

このように、お金や休暇の向上を目的とすることも、自己成長ややりがいを求めることも、どちらも正解だと思います。それは「必要条件」と「十分条件」の違いです。必要条件とは、仕事をする上で当然必要な条件であり、給与や休日はその一部です。一方で、やりがいや成長は十分条件に該当し、これがあればさらに良いというものです。

今回の議論を総括すると、仕事の目的を次のような流れでメンバーに伝えることが重要だと考えました。

1.スキルアップと人間的成長
2.パフォーマンスアップによる業績向上
3.スキルアップ及び業績向上による給与や待遇向上
4.会社や社会に貢献できることの満足感と幸福感

リーダーとしての役割は、この好循環をつくるために仕事の目的を明確に伝え、メンバーのモチベーションを高めていくことにあります。

社員一人ひとりがモチベーション高くワクワクしながら仕事に取り組む姿こそがES経営であり、私たちが目指すべき理想の組織です。成長と成果、そして報酬がバランス良く調和する会社を目指していきたいと思います。

『仲間を知る』

この度当社では、社内広報誌(以下、社内報)を発刊することになりました。

社内報の目的は、共に働く仲間の人となりを知り、仲間への貢献感を高めることでチームの連帯感を醸成し、より楽しく、より良い仕事を行うためです。まさしく企業理念の「ES」を実現するべく取り組みです。

良いチームづくりには3つの要素が必要であると考えています。

一つはチームが目指すビジョンが明確であることです。

二つ目に共に働くメンバーの人となりを理解し、信頼関係が構築されていることです。

三つ目にメンバーの成長を促す評価制度や教育制度といった環境が整っていることです。

目指すビジョンが明確で、信頼できる仲間がいる、そして成長できる環境がある、この3拍子を揃えることがES経営における最大のテーマになります。

近年、社員数も300名近くになり、同じチームで働く仲間のことは理解しているが、隣のチームや他部署のメンバーのことはよく分からないという声を聴くようになりました。

また、部署間の連携不足といったことも長年の課題になっていたこともあり、今回社内報によって部署間の壁を少しでも無くすことができないかといったことが今回の取り組みの経緯になります。

これからは部署間の連携を高め、シナジーを発揮し、より付加価値の高い仕事をしていくことが求められます。そのためにも会社で働く仲間を知り、コミュニケーション機会を増やすことで、それぞれが見識を高め合う、成長し続ける組織を目指したいと思います。

『木を見て森も見る』

「木を見て森を見ず」という言葉があります。これは局所的、短期的な視点に捕らわれてしまい大局的、長期的な視点が抜け落ちてしまうという意味です。

仕事というのはこの2つの視点両方が必要なのですが、社内での議論の場でしばしば起こることが「木」と「森」のどちらか片方しか見えていないこと、或いはどちらかの視点に偏っていることで話がうまく噛み合わないという現象です。

分かりやすいのが株式公開企業の事例です。短期的な業績を重視する株主側と持続的な成長を重視する企業側が経営戦略についての考えが合わず対立するというのがよくある話です。

私たちの身近な例としては、目の前の担当業務と将来のための改善活動(QC活動や研修など)のどちらを優先するかといった議論です。どちらも大切なのですが、目の前の業務を優先する部下と、改善活動を優先する上司が対立するという構図です。

また、新規事業の様々な施策を決定する場で、目指す事業ビジョンの共有がしっかりされていないために議論が噛み合わないということも経営層の間でもしばしば起こります。

比較的、現場に近い担当者は目の前の「木」についてはよく理解をしていますが経営側に近いほど現場の詳細については把握していないケースがあります。

また、経営者は会社の将来ビジョンである「森」については鮮明に描けていますが、現場の担当者は経営者と同じ解像度で見えているわけではありません。

お互いにそれぞれの頭の中で見えている世界の擦り合わせを行わないと、建設的な議論にならないのですが、お互いに「わかっているだろう」という思い込みでこの擦り合わせのプロセスを飛ばしてしまっていることが多いのが現実です。

やはり、何事もお互いに相手を理解するという姿勢が必要です。そして「木も見て森も見る」という状態をつくった上で議論をスタートさせることが肝要です。

ある意味での二律背反の課題に対して簡単に割り切らず、諦めずに挑戦し続けることが強い会社をつくります。忙しい中でもしっかりと時間をかけて対話を重ねるプロセスを大切にしていきたいと思います。

『知と知の融合』

先日、Link&Aグループ株式会社(以下リンク&エー)の株主総会がありました。

リンク&エーはウッドリンクの親会社(持ち株会社)であり、他にアルスホーム、ビルダーズサポート、エツサスの4つの事業会社がグループ会社として存在しています。

https://link-and-a.co.jp/
Link&Aグループ公式サイト

設立は2017年で設立当時はウッドリンクとアルスホームの2社のみでした。社名の由来は皆さんご想像の通り、ウッドリンクのLinkとアルスホームのAを取ってLink&Aグループです。

創業がウッドリンクで、後にアルスホームが設立、その後も次々と、Link&A社、B社、C社...のように、新たな事業会社が立ち上がることをイメージしています。

グループ共通の企業理念ES=CSを根本に据え、事業領域としては、木材から始まり、建材、建築、土木と木造建築業界の中で唯一無二の事業ポートフォリオを確立し、北陸の地で存在感のある中堅企業になることを目指しています。

そのためには各事業会社がそれぞれの強みを生かしてシナジー(相乗効果)を発揮し、グループだからこそ発揮できる価値を如何に生み出すか、つまり木造建築業界にイノベーション(変革)を起こすことが最大のテーマです。

イノベーションというのは知と知の融合を意味します。知と知が交わって化学反応が起き、新たな知が生まれるというプロセスです。

株主総会の懇親会の場ではそれぞれの事業会社の幹部メンバーが現状の課題や今後のグループとしてのありたい姿について、それぞれの想いを語り合いました。

一つ大きな収穫としては、年に一回の総会だけではなく、定期的にディスカッションする場をつくっていこうという話が上がったことです。

各事業会社の役員は毎月のリンク&エー取締役会で顔を合わせてディスカッションしていますが、役員以下の方たちが定期的に集まることはありませんでした。それぞれの業務に精通した幹部メンバーが集まることで、よりリアリティー且つディープな話合いができると考えています。

今後、知と知の融合によってリンク&エーとしてどのようなイノベーションを起こせるのか、とても楽しみです。

「常に新しい価値を創造する」
            企業理念第2章